P3 art and environment

PAST
 
展覧会

シナジェティック・サーカス
バックミンスター・フラーの直観の海

1989年4月25日8月5日

東長寺講堂P3 Alternative Museum, Tokyo

R.バックミンスター・フラー(1895-1982)は今世紀最大の知的巨人に数えられ、その活動は数学・物理学・建築・エンジニアリング・環境デザイン・哲学・政治思想・教育・詩と、幅広い分野に及んでいる。マーシャル・マクルーハンは彼を「私たちの時代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と呼び、作曲家ジョン・ケージは「われわれは、バックミンスター・フラーの時代に生きた人々として記憶されることになるだろう」と書いた。
1920年代に構想された革命的住居デザイン「ダイマクション・ハウス」、T型フォードの時代に驚くべき走行特性を実現した流線型の三輪自動車「ダイマクション・カー」、現在のユニット・バスの原形となった「ダイマクション・バスルーム」、私たちの地球像を視覚的にも矯正した「ダイマクション・マップ」、そして今や赤道から両極まで、文字通り世界中に建てられている「ジオデシック・ドーム」…。彼の88年間の生涯はエキサイティングな発明に満ちていた。
しかし、彼の発明は工学的なものに限られるものではない。三角形や四面体が飛びかう独創的な数学「シナジェティックス」や「宇宙船地球号」といった概念、さらには地球的問題をみんなで解決するための手法「ワールド・ゲーム」など、その「目には見えない」発明品も同様に驚くべきものだった。
フラーのさまざまな発明の裏には、彼が半世紀も前から語り続けた、魅力的な宇宙哲学があった。彼はひとりの人間がもつ無限の可能性とイマジネーションを信じ、近視眼的国家主義を厳しく批判し続けた。彼は本当の「地球人」だったといえるだろう。フラーは今も刺激的である。

「P3 オルタナティブ ミュージアム 東京」のオープニング企画である本展は、BFI(ロサンゼルス)の全面協力のもとに開かれ、日本初の総合的なフラー展となった。

展示構成:
本展ではフラーの発明品を紹介するにとどまらず、彼の発想の原風景-直観の海をそのまま提示しようと試みた。フラーが最晩年、自分の全思索を童話仕立てにまとめた、一辺91センチの三角形石版画21葉からなるアート・ブック「テトラスクロール」、直径3メートルのジオデシック球をはじめとするさまざまな構造モデルやオブジェ群、ダイマクション・マップ、フラー・インスティテュート所蔵の貴重な映像フィルムなどがフラーのイメージの洪水をつくりだした。また会場内に常設した作業場では本展の企画から参加した村井啓哲がジオデシック・モデルなどを製作しつづけた。訪れた観客は村井と語らいながら直接フラーの思考モデルの製作に参加することができた。また、ジオデシック構造を持つ自然の造形物なども次々と持ち込まれ、質実ともに進化する展覧会となった。
会期中のレクチャー・ワークショップなどの催しは15回以上、その他、土日祝にはギャラリー・ツアーが行われた。また、ラッセル・シュワイカート他の宇宙飛行士へのインタビューの場としても利用されるなど、各界の注目を集めた。


付記:
会期中にメディア・アーティストのインゴ・ギュンターが訪れたことから翌年に彼の個展を開くことになり、急遽、サブ・ギャラリーにおいて地球儀を使った作品「ワールド・プロセッサー」のプレ展示が行われた。

主催:P3 Alternative Museum, Tokyo
協力:バックミンスター・フラー・インスティテュート(BFI)

関連商品


その他イベント出版・編集調査研究プロジェクト映画WEB制作・運営事務局運営作品設置・展示コーディネートサイト開発・ランドスケープインターキャンパス